山本俊則さんの美術展時評『No.051 逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし』をアップしましたぁ。渋い画家を取り上げておられますねぇ。久隅守景(くすみもりかげ)は江戸初期の慶長年間に生まれ、元禄年間の末に80代で亡くなったと言われる絵師です。狩野探幽門下ですが、娘・息子の不祥事がたたったのか、60代で江戸を離れ金沢前田藩で活躍し、晩年は居を京都に移して絵師の仕事を続けたようです。山本さんは、守景は『狩野家の口添えなどがあって、加賀藩前田家のお抱え絵師の一人となったのだろう。(中略)京都時代の作品には貴族好みの雅な絵が多いので、京でも守景は貴顕と交流し絵を描いていたらしい』と書いておられます。

 

守景を有名にしたのは国宝指定を受けた『納涼図屏風』です。国宝の中で一番地味だとも言われます。ただ『納涼図屏風』には守景の画風の特徴が良く表れています。山本さんはそれを『守景は、狩野派流だが明らかに人物の〝内面〟を咀嚼(理解)して絵にしている。(中略)彼が和漢の書に通じた知識人だったからそれができたのだろう。同時代に存在した絵の描き方(流派)にきっちりと沿いながら、人物の内面表現――つまり守景自身の内面を絵で表現したのである。それが狩野派本流を離れた群小画家の一人でありながら、守景の画業が今日非常に高く評価されている理由である』と批評しておられます。

 

山本さんはまた、『画家は思想家ではない。画家の内面に渦巻く感情や思考が長年の習練により、筆の先から無意識的に溢れ出た作品が傑作になる。また長い時間をかけてでも、後世の人間は必ずそのような優れた表現を見抜く。凡百の駄作とほんの一握りの傑作を的確に見分けるのである』とも書いておられます。考えさせられますねぇ。

 

文学に限らず、傑作は書こうと思わなければ書けないものだと思います。この程度でいいと作家が見切った作品は、たまさかの偶然で売れることはあっても、いずれ人々の記憶から忘れられてゆきます。ただ作家の自信作が世の中から評価されるとは限らないのが難しいところです。案外、サラリと書いた作品が評価されたりする。しかしそれは、作家の能力が極めて高かったから起こる現象です。そういう作家は、後半生になるほど能力が発揮できるはずです。光琳や北斎、守景など画家にはそういう人が多い。物書きも本来はそうあるべきだろうなぁ。戦後文学のパラダイムがきれいさっぱり消滅してしまったせいか、一昔前なら大作家と呼ばれてしかるべき人たちが、あまり書かなくなっているのは気になるところです。

 

 

山本俊則 美術展時評『No.051 逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし』 ■

 

 

Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)

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Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。

 

日時2016年06月18日(土曜日)

開始時間午後03時30分~

場所近日中に発表します

参加費3,500円

* 参加者の皆さんには金魚屋刊行書籍一冊(定価1,500円)をプレゼントします。

懇親会費(オプション):2,000円

* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。

 

テーマ ■

【テーマ】ジャンルの越境

純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。

【司会】

山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)

 

プログラム(予定)■

シンポジウム

第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について

三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)

遠藤徹(作家・同志社大学教授)

第二部 ラノベと(純)文学について

仙田学(作家)

西紀貫之(作家・フリーライター)

リード小説大賞決定!

山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。

第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介

懇親会

いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。

 

 

Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨

・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。

・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。

・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!

・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!

 

【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】

・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。

・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。

・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。

・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!

 

【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】

・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。

・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。

・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!