小松剛生さんの第1回 辻原登奨励小説賞受賞作『切れ端に書く』(第09回)をアップしましたぁ。小松さんは理論派といふタイプの作家さんではありませんが、確実に時代の雰囲気を捉えておられます。こりは不肖・石川の体感的感覚なのですが、世界の変化がはっきり方向性を持って見えてきたのは、ここ5、6年くらひぢゃないかなぁ。期せずして、東日本大震災がそのメルクマールとなるやもしれません。

 

 彼はそこである程度の人であれば理解できて、遠すぎず近すぎない話、それでいて退屈させないような内容のものを口にしなければいけない。

 それが良いヒッチハイカーであることの条件だ。

 文章を書くこともそれに似ていて、例えば手紙のように特定の誰かに書けるのであれば何でも構わないが、他人に向けて、それもいつ届くかわからないような代物を書くということはそういうことになる。

 僕は世の中で(さっきからこの言葉がたくさん出てきてしまって申し訳ない)作家になりたい人がどれほどいるか知らないし、作家でいる人がどれほどいるかも知らないけれど、知っていることはひとつある。

 良いヒッチハイカーなんて、片手で数えられるほどにしかいない。

 

小松さんは意識的にそうなったのではなく、自然発生的なポスト・モダン作家です。自己言及的なのですが、それが文学自身の意識に言及してゆくような書き方をされます。『切れ端に書く』、そろそろ大詰めです。独特のエクリチュール小説なのでありますぅ。

 

 

小松剛生 連載小説『切れ端に書く』(第09回) pdf 版 ■

 

小松剛生 連載小説『切れ端に書く』(第09回) テキスト版 ■