ラモーナ・ツァラヌの文学金魚らじお『文学の旅 ⑥ 翻訳された小説から伝わる日本のイメージ』をアップしましたぁ。ヨーロッパでは意外なほど日本文学が翻訳出版されているんですね。その多くが「純文学」のようです。出版社は民間企業で利益を上げなければなりませんから、必然的に日本で賞などで評価され、売れ行きのよかった小説が翻訳されます。その結果どうなるのか。
結果として何が起こるかというと、ヨーロッパの読者は日本文学の「峰」にしか触れていない、という状況ですね。息をのむような「連峰」を見れば、「日本は山の多い国だな〜」というイメージにつながります。これはもちろん、優れた作品の比喩です。日本文学に素晴らしい作品がたくさんあるのは間違いありませんが、純文学の枠を超えて視野を広げなければ、偏ったイメージしか伝わらないと思います。
私に言わせれば、これはヨーロッパ特有のエリート意識の罠です。
優れたものを厳選した結果、自分の理想以外は何も見えなくなってしまう、という現象です。
ラモーナ・ツァラヌ
ラモーナさんがおっしゃっていることは、日本の海外文学の翻訳本についても言えるかもしれません。ネットの普及による情報化社会の到来で、一昔前のような〝幸福な文化的誤解〟は少なくなったと思います。ただ昔の文化的誤解は、けっこうダイナミックな妄想と言いますか、ビックリするような創造力の糧になっていたところがあります。現代の方が中途半端な理解になっていて、創造力が伸び悩んでいるのかもしれません。
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