ケニー敏江 新連載小説『四角い海』(一)をアップしましたぁ。第17回金魚屋新人賞受賞者・ケニー敏江さんの小説『四角い海』連載開始です。一度佳作入選になりましたが、辻原登先生が今回は新人賞にお選びになりました。
石川は佳作と新人賞受賞作の二作しか読んでいませんが、小説を書き慣れている作家という印象です。新人賞応募作は石川などが下読みするわけですが、単純ですが決定的に重要な要素に〝読者〟があります。小説は自分が思っていること感じたこと、主義主張や夢想をそのまま表現したのでは〝作品〟になりません。〝読者に読んでいただく〟あるいは〝何がなんでも読者に読ませる〟という意識が非常に重要です。
読者を強く意識すれば小説技術がいかに重要なのかに気づくはずです。身勝手な主張や妄想、フィクションなど誰も読んではくれません。〝他人は自分には興味がない〟と絶望に近いほど認識しなければならない。自分に興味がない他者を強引に振り向かせるためにはどうすればいいのか、と考えなければなりません。それが作品という概念です。
『四角い海』は小説内小説ですから最初から読者が意識されています。他者に読んでもらいそれがどういう結果になるのか、どう解釈され批判されるのかに敏感な作品です。それだけでも新人賞の敷居を越えています。小説のツカミもOKです。ここまで来ると後は何回読者を驚かせ、意外な地点に小説を着地させるのかが正念場になります。
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