寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第24回)をアップしましたぁ。今までの寅間さんの小説と違って、子どもが生まれたのが決定的変化になっています。一種のしがらみといいますか、束縛と責任感が同時に主人公に襲いかかっています。
小説ではありませんが、永井荷風に『断腸亭日乗』があります。いつか公開されることを前提とした日記ですが、内容は赤裸々です。荷風先生、とにかく女出入りが激しい。といっても荷風さんの相手は常に娼婦です。それが長くても数年で次々入れ替わる。手切れ金を渡したという記述もあります。手切れ金を受けとらなかった女性に対しては、「珍しい女だなぁ」という感慨も洩らしておられます。
ほんで『断腸亭』を読んでいて首を傾げるのは、よくまあこんなにキレイに女性と別れられるもんだといふこと(笑)。相手が娼婦だからではありませんよ。1年2年と付き合っていれば互いに情が移ることもあるはず。それが荷風先生には一切ない。これはどういうことかといふと、荷風先生、要はエゴのカタマリ。女性を必要としていますが常に自己中心的。孤立したエゴしかないんですね。荷風先生の死にざまはよく知られています。古井由吉さんは「これは難破だな」という意味のことを書いておられました。
さて、寅間さんは荷風先生の逆です。優しい。ただ優しさをずっと維持できるはずもないわけで、それがかえって人間の冷たさになることもある。この小説、どこに進んでゆくのでせうね。楽しみです。
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第24回) 縦書版■
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第24回) 横書版■
■ 金魚屋の小説―――金魚屋の小説だから面白い! ■
■ 金魚屋の本 ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■