松原和音 連載小説『学生だった』第03回をアップしましたぁ。松原さんの『学生だった』は女図鑑といった感じになっています。次々に主人公の前に女が現れる。女子大生だから若い女性が多いですが、年上の女性もいます。彼女たちをとても冷たい目線で描写してゆく。
「タイ料理は?」
池袋で食べた生春巻きがとても美味しかったのを思い出した。タイ風お好み焼きというメニューもあって、なかなかだった。葉っぱで巻いて食べるのだ。銀座にも似たようなお店があるはずだ。きっと、レナちゃんも喜んでくれる。
「どこにあるの?」
「今から調べるよ」
ポケットから、携帯を取り出す。
「えー? 場所も知らないで言ったの?」
デートプランを練ってこなかった男子はこんな気持ちなのだろうか。
松原和音 連載小説『学生だった』
いるよねー、こういう女の子、という感じですが、批判的かといえばそうでもない。共感というか理解できる部分があるから決定的な対立などが起こらない。女を見ることで主人公の女性性が重層化してゆくような感じです。このエクリチュールの厚みは面白い。もちろん決定的な異和は男が担うことになる。本質的には女性性と男性性が入り混じる小説らしい小説になってゆくでしょうね。
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