ラモーナ・ツァラヌさんの短編小説『忘れないように』(後編)アップしましたぁ。ラモーナさんはルーマニア出身で能楽研究者でありキリスト教正教徒でもあります。今回は正教徒らしい小説です。守護天使と人間のお話ですね。
カトリックや正教に守護聖人がいることはよく知られています。キリスト教は歴史が古いので様々な民間宗教を習合していて、旅の守護聖人、農業の守護聖人など様々な守護聖人がいます。日本の竈の神様とかとちょっと似たところがありますね。守護天使は特定の人間バージョンで一人の人間に付いて一生守り導いてくれるのですね。日本のご先祖様に近いかな、いや違うか(笑)。
とにかく『忘れないように』は主人公の人間と彼の守護天使のお話です。守護天使は姿を見せません。声だけで主人公と交流(交信)する。キリスト教はもちろん、ユダヤ、イスラームのセム一神教では声が重要です。姿は見えなくてもいい。というか聖典の中で異形な姿が見えてしまうとそれはまやかしであることも多い。
見るより聞く、匂うといった感覚の方が重要なことがしばしばで、それは宗教の本質であり人間が直観的真理を掴む際の機微を示唆しているように思います。日本語で書く限りラモーナさんも日本の作家であり、真摯な正教徒というのは大きな武器であります。
■ ラモーナ・ツァラヌ 短編小説『忘れないように』(後編)縦書版 ■
■ ラモーナ・ツァラヌ 短編小説『忘れないように』(後編)横書版 ■
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