小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『週』(第32回 最終回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。今回は『週』で、『Currency』連作の最終回です。
あなたは振り返り
わたしに言った
この呆れるばかりの
くだらなさが大底か
もっとくだらぬ底があるか
わからない
俗世の底が割れるまで
あるいは這い上がり
しかし届かず
力尽き
だが底を割らずに
芽吹くときまで
日照りの土地に
撒いた種を
誰が見ていよう
小原眞紀子『週』
今回の詩篇はいわゆる述詩かもしれませんね。詩を含めて文学の世界は大きく変わりつつあります。もちろんそれは世の中の大変動に連動しています。わたしたちは否応なくそんな世界に対応しなければなりません。しかし現実世界はそう簡単には変わらない。ただ必ず誰かが〝底〟を探り、そこからの〝反転〟の機会をうかがっています。文学金魚もそういった力強い反転=上昇の狼煙になりたいものです。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『週』(第32回 最終回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『週』(第32回 最終回)横書版 ■
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