連載翻訳小説 e.e. カミングス著/星隆弘訳『伽藍』(第36回)をアップしましたぁ。まったくもって収容所にはいろんな人が寄せ集まっていますな。今回はトランプ賭博師の秀才(クレバー・マン)が登場します。そいつが二枚舌(ジューダス)から徹底してお金を巻き上げる。カミングスさんには大受けだったようです。
もうどこにいったのかわからないのですが、石川は薄いカミングスさんの詩集を持っていました。確か95 Poemsだったと思います。カミングスさんの詩は短いのですが、回文のようになっているものもあって、単語は簡単なのに意外に読むのに苦労します。日本語訳では藤富保男さんがいち早くカミングスの翻訳をなさいました。原文と藤富さんの訳を比べてみると、短詩なのに非常に苦労なさっていることがわかります。
言外の意味というのは文学では非常に微妙で、文学テキスト読解の原則は書かれていないことは決して読んではいけない、ということです。ただカミングスの詩は別ですねぇ。凝縮して端折ったことがはっきりとわかる詩です。エッセンスしか書かれていません。
逆説的になりますが、エッセンスを抽出するということは、その前に膨大な意味やイメージの塊があるということです。カミングス処女作『伽藍』には、この作家が抱えていた混沌とした世界が表現されています。この初期の混沌を理解しないと、カミングスの短くスッキリとした詩の世界は正確には味わえないでしょうね。
■ e.e.カミングス著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第五章 大部屋の面々』(第36回)縦書版 ■
■ e.e.カミングス著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第五章 大部屋の面々』(第36回)横書版 ■
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