遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』第24回(九)象のお腹(パリンプセスト)(下編)』をアップしましたぁ。いよいよ大団円に向けて走り始めました。石川、駄弁を喋りまくり、ヒロインさやかに嫌がられても、しゃべりたーいしゃべりたーいしゃべりたーい光線を出しまくる種山先生が大好きです。こういうヒーローがいてもいいですね。
ただもちろん種山先生は美男子ではなく、通常のラノベ的文脈で言えばアンチ・ヒーローです。知性だけが彼の武器なのですから。もちヒロインさやかとの間に恋が芽生えることはありません。でもヒーローとヒロイン、なんらかのオチが必要なわけで、そこが小説家の腕の見せ所です。
遠藤さんはアメリカ文化に詳しくて、アメリカ発祥の大量消費文化に対しては批判的です。ただその批判は一面的ではありません。今の世の中、○○反対、○○を守れといった声が社会で大きく響きやすいですね。でも良いことも悪いことも全部繋がっている。リンクしているのです。一つ問題を解決しても、その影響で別の所に大きな影響が現れたりする。地球温暖化問題にしても、何十年にも渡って進行したわけですから、例えば急に地球を冷やす技術が開発されそれを実行すれば、地球環境はさらに悪くなる可能性だってあるわけです。
全体を見ること、総合的に文化を捉える視点を持っているのが遠藤さんの特徴だと思います。その博物学的知性は『ムネモシュネの地図』という小説にもよく表れています。政治なら政治、経済なら経済、文化なら文化に専心してひたすら探求を続けていればよかった時代は終わり始めていると思います。その意味でも種山先生は現代のヒーローですね。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』第24回(九)象のお腹(パリンプセスト)(下編)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』第24回(九)象のお腹(パリンプセスト)(下編)』横書版 ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 第7回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第07回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 金魚屋の本 ■