原作小原眞紀子、作露津まりいさんの連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第28回 最終回)をアップしました。第15章『箱を開いてシャンパンを』(後編)です。『お菓子な殺意』はついに完結です。含みのある怖いエンディングになりましたねぇ。『フェイクマスター』や『香獣』とはまたテイストの違うサスペンス小説です。
来年も小原・露津コンビには引き続きサスペンス小説を連載していただく予定です。なにせ筆力のある作家さんたちですから。作家にとって筆力はやはりとても重要だと思います。もちろん書けばいいというものではなくて、表現の核をつかんでいて、そこから無限に作品が湧き出て来るのが理想です。
この表現の核ですが、ある程度までは作家の生育環境などの実存に基づいているのが普通です。ただ幼年時代のトラウマなどが表現の核になっていると、それを書き尽くした時点で筆が尽きてしまうこともしばしばです。自らの実存に即した表現の核を、高次の観念にまで高めていないと、なかなか継続的に書けるようになるのは難しいでしょうね。それにはある程度の時間がかかると思います。
小原さんは先頃『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を金魚屋から出版しましたが、テキスト曲線を使って男性性と女性性を論じておられます。彼女の実存的テーマはさておき、その表現の核はテキスト曲線的な男性性・女性性の両極点をダイナミックに往還する観念にまで高められています。こういった形での作品の構造的把握は大事です。いろんな場面で応用できると思います。
■ 小原眞紀子・原作 露津まりい・作 連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第28回 最終回) 第15章『箱を開いてシャンパンを』(後編)縦書版 ■
■ 小原眞紀子・原作 露津まりい・作 連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第28回 最終回) 第15章『箱を開いてシャンパンを』(後編)横書版 ■
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