ドイナ・チェルニカ著、ラモーナ・ツァラヌ訳、No.014『少女と銀狐』第19-20章をアップしました。『第19章 イノシシとの出会いや、そのほかにもいろいろなことがおこる』『第20章 ゴン・ドラゴンはキツツキを呼びだす』です。
いよいよゴン・ドラゴンが登場してきました。ただ銀狐の災難を知ってもゴン・ドラゴンは、『百年にいっかいでも銀狐のようなものがあらわれてくれなければ、えいえんはどれだけたいくつだろう』と思っています。ゴン・ドラゴンが一番の〝敵〟のはずなのですが、不思議な感慨です。まあ『少女と銀狐』が不思議なテイストのファンタジー小説なので、ドイナさん的には自然な流れなのかもしれません。何も言わずに去っていったイノシシも気になります。
夏目漱石は『道草』で「一遍起こったことはいつまでも続く」と書きましたが、その通りかもしれません。人間世界では誰かが亡くなると影響が失われたように見えますが、生き残った人たちの中で意外に強く、影響が底流として残ることも多い。ならば永遠を生きる者たちの中での影響関係はどうなるのか。
物語では魅力的登場人物を殺すことも、生かしておくのも自由です。『少女と銀狐』は〝生かす〟ことを選択した物語です。ずっと絡み合いながら続く影響関係を表現するには、ずっと生きている者同士の対立と融和を描く方がいいのかもしれない。
この生者であることを選択した物語は、作家の世界観と密接に関係しているでしょうね。日本人は抜きがたく春夏秋冬の循環的世界観を持っていますが、ルーマニア人のドイナさんは、日本人とは違う、だけどどこかで共感できるような循環的かつ調和的世界観をお持ちのようです。
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第19-20章 縦書版 ■
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第19-20章 横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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