遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第08回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(上編)』をアップしましたぁ。今回から新しい章です。種山教授の暴走が続いております。だけんど主人公は一条さやかなわけで、この女子大生が殺人事件と種山教授の謎解きによってどこに連れてゆかれるのかが『ムネモシュネの地図』の最終着地点です。それが少しずつスリップされ始めている章です。
文学については様々な定義があります。文学金魚の定義は〝文字でなければ表現できない何かを表現している抽象総体が文学〟ということになります。〝文字でなければ表現できない何か〟を単純化すると〝作家の思想〟になります。つまり文字でしか表現できない作家思想を含んでいる抽象総体が〝文学〟ということになる。文学金魚ではそれをさらに単純化して〝純文学〟と呼んでいるわけです。
もちろん上記の定義は作品で論文的な思想が表現されているという意味ではありません。会話だろうと作品構造だろうと、作家の思想はどんな形で表現されていてもいい。ただ作家思想が存在しない作品は純文学とは呼べない。深刻そうなテーマが設定されていたり、純文学だねぇという文体で書かれているからと言って、文学とは限らないわけです。
『不思議の国のアリス』や『吾輩は猫である』は純文学です。童話ファンタジーであろうとユーモア小説であろうと関係ない。強い作家思想が認められるので純文学です。つまりうんざりするような純文学文体や、文芸ジャーナリズム的なジャンル別区分けで純文学とエンタメ作品を区分するのは無意味。遠藤さんはホラー作家としてデビューしましたが、本質的に純文学作家です。『ムネモシュネの地図』はそれが端的にわかる作品です。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第08回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(上編)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第08回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(上編)』横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■