佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『No.109 中江有里「シャンプー』(「オール讀物」 2016年10月号)』をアップしましたぁ。中江さんは女優・タレントとして知られますが、小説『結婚写真』や『ティンホイッスル』なども出版しておられます。佐藤さんは『「シャンプー」は短篇ですが秀作ね。冒頭のシーンでお作品の主題がはっきり示されていますわ』と高く評価しておられます。
母親との親子関係にイジメを取り混ぜ、その上大人の世界への第一歩を主人公に歩ませているという意味で、十分すぎるほどのエンタメ要素を盛り込んだお作品だと思います。大衆小説では一つの主題だけじゃダメなのよ。飛び道具は二つ以上必要ね。一種のどんでん返しを二つ、三つ仕掛けられる作家がいい作家ってことになるかしら。あとは残酷さね。人間関係の残酷さが際立てばさらに素晴らしいお作品になると思いますわ。それには長さが必要でしょうね。是非中江先生の長篇のお作品を読みたいと思いますわぁ。
(佐藤知恵子)
これは一般論ですが、小説はその書き方、つまりある程度のテクニックをきちんと把握すれば多くの人が書くことができます。実際、小説ノウハウはネット時代になって大量に流出しています。小説ばかりでなく批評講座なども存在します。俳句や短歌関係の書籍のほとんどが、初心者向けのノウハウ集であるのは言うまでもないです。
ただ文学青年はやたらと難しい試みをしたがる。それはそれで勢いがあっていいのですが、まとまらないという悩みも一方で抱えるはずです。まずきっちりと小説らしい小説を書いてみるのはとても大事です。もちろん中江さんの小説は、初歩レベルを超えて高い完成度を持っています。タレントの小説なんてと思う文学青年も多いでしょうが、だったらそれを超えるレベルと完成度の作品を現実に書かなければ説得力はありません。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『大衆文芸誌』『No.109 中江有里「シャンプー』(「オール讀物」 2016年10月号)』 ■
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