純文学エンターテイメント作家、遠藤徹さんの連載小説『ゆめのかよひじ』(第14回)をアップしましたぁ。『ひるやすみ(前編)』です。このひらがなの物語も大詰めに近づいてまひりました。主人公の女の子は目覚めたまま図書館へ、本の世界に入ってゆきます。
「なにかいっさつ、ほんでもかりよう」
そうおもって、あたしはガラガラっととしょしつのドアをあけました。でも、
「あら、いらっしゃい」
といつもえがおでこえをかけてくれるししょのせんせいはいませんでした。それに、なんだか、としょしつのようすがちがいます。あたしのしっているがっこうのとしょしつではないようでした。
「あれ、ここは」
そうなのです。そこは、あのゆめのなかのとしょかんでした。だって、やたらにひろいし、やたらにほんがたくさんあるのです。あたしがしっているがっこうのとしょかんには、こんなにほんはありませんでした。らせんかいだんだってないし、みあげるかぎりほんのかいがつらなっているなんてこともないし、てんじょうにおおきなめだまがあって、としょかんのぜんたいをみわたしてるなんてこともないのです。
(遠藤徹『ゆめのかよひじ』)
遠藤さんはエンタメホラー作家として知られていますが、このお方はその枠組みに収まり切らない作家です。〝実に奇妙な作家〟としか表現しようがないかもしれません。ただその奇妙さがまだ世間一般に流通といふか認知されていない。なんとか周知徹底させたひですねぇ(爆)。
■ 遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第14回) 縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第14回) 横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■