第03回 辻原登奨励小説賞受賞作 原里実さんの新連載小説『レプリカ』(後篇)をアップしましたぁ。『レプリカ』はラノベっぽいSF小説のような感じがするかもしれませんが、本質的には観念的恋愛小説です。原さんという作家は、少なくともここしばらくはこのテーマを表現なさるでしょうね。それが変化して第Ⅰ期から第Ⅱ期、Ⅲ期へと変化してゆくのかどうか、今のところわかりません。ただこのテーマは男女の恋愛という現実感を超えて、原さんの根幹的主題だと思われますので、書き尽くす勢いで書いていただきだいと思います。
石川、最近になって、ようやく文学の本質的変化の兆しが現れてきたように感じています。原さんや小松剛生さん、それに文学金魚には書いていただいていませんが、最果タヒさんや加藤秀行さんは明らかに従来の作家とは質的に違います。もちろん小説ですから共通点の方が多いとは言えますが、本質的核が異なる。従来の文学というより、従来的な文学の文脈を結果的に相対化している作家たちだと思います。新しい文学は、恐らくこの方向へ進む。
ただ従来的文学の文脈は、将来に渡っても文学の基盤であり続けることは言うまでもありません。多くの作家の視線が後ろ向きだから新鮮味がないのです。要は昔ながらの文学者の作品とイメージに囚われてしまっている。しかし将来的変化を見すえた従来的文学の文脈を踏まえる王道的作家もいるわけで、そういった作家の質的差違は、新たな作家たちの登場によって明確になると思います。ようやく世代間の相乗効果が得られる時期に入りつつあるのかもしれません。
まあ石川のようなオジサンは新人には常に好意的に期待するので、ちょいと買いかぶりのケがあるやもしれません。だけんど東大ハラ坊は、恐るべきおにゃの子かもしれないといふ気がちょっとしまふ(爆)。
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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■ 予測できない天災に備えておきませうね ■