小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『No.025 ベランダに住む正義/ミントの話/ロンドンは今日も満室です』をアップしましたぁ。みなさまメリークリスマスです。小松さんの小説は連載作品ですが、なんとなくクリスマスらしい感じがしてよござんす。
僕は考えた。
概念サメについて。
地中深くで発見された男について。
ギリシャのフラッペの冷たさについて。
そしてふと漏れた。
「男は、どこに行きたかったんでしょうね」
「たぶん、「世界の果て」なんじゃないかな」
初めて隣にいる男と意見が合ったような気がした。
(小松剛生『ミントの話』)
小松作品は地に足がついた豊かな社会の産物といふ感じがしますね。またそれはとても微細な〝私〟の世界を描きながら、その極私的なあり方によって広い世界につながっています。これもまた現代の特徴なのかもしれません。
世の中に情報が溢れ、ちょっと先の情勢も読みにくくなるにつれ、大上段に天下国家を論じる若者が増えています。それに逆行するように微細な私にこだわる若者も増えている。文学の倫理としては後者の方が正しいような気がします。私のあり方が変わっているわけですから、それをまず把握しないといけませんよね。希薄で小さいようでいて、極私は恐らく強い〝私〟でもあります。小松さんのクリスマス・プレゼント的ショートショート、じっくりお楽しみください。
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■