お待ちかね、小説ジャンル越境作家、仙田学さんの新連載小説『ツルツルちゃん 2』(第18回)をアップしましたぁ。『第七章 吊り橋の手塚様(中)』篇です。主人公の映一君が右往左往しているうちに、イケチンと未来ちゃんが行方不明になっちゃうのでした。でも謎はまだまだあるわけでして・・・。
「あのふたり、まだ戻ってきてない」
「あ、あの……えっ?」
おれは耳を疑った。
美少女の唇から発されたのは、聞き覚えのありすぎる声だったのだ。
「早く。こっち」
おれの手を引いたまま、少女は歩きだした。
大音声でシャウトしている兎実さんたちは、美少女の存在に気づいている様子がない。
ロビーの端からひと気のない廊下へでると、少女は引き結んでいた唇を緩め、ため息をついた。
「私のせいだ。探してくる」
「あ! 羊……歯……?」
並んで立つとちょうど肩のあたりにくる顔のほっそりとした輪郭は、見まがいようがなく羊歯のものだった。
ぐるぐるメガネを外して、ウィッグをつけ替えた羊歯?!
メガネ外して髪型変えたら美少女って! いつの時代のマンガだよ。
ってかなんで? なんでこのタイミングでメガネ外してんの?
おれの頭のなかでは数えきれないほどの疑問が竜巻のように渦巻きはじめた。
(仙田学『ツルツルちゃん2』)
羊歯ちゃん、実は超絶美少女だったのねん。『ツルツルちゃん2』はプロレスシーンが入ったりして学校内でのマウンテング小説という面がありますが、羊歯ちゃんは負の中心だなぁ。ぐるぐるメガネがそれを象徴しているのでありましたぁ。
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第18回) 縦書版 ■
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第18回) 横書版 ■
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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