お待ちかね、小説ジャンル越境作家、仙田学さんの新連載小説『ツルツルちゃん 2』(第14回)をアップしましたぁ。『第六章 スキンヘッドは心の鏡(上)』篇です。網走への修学旅行スタートです。京都でも奈良でもなく網走といふのが仙田さんらしひですねぇ。観光地として夾雑物がなく、物語を進めやすい。石川は京都・奈良に修学旅行に行ったのですが、『ここはどこなのっ! 京都なのっ、奈良なのっ』とバスの中で泣ひていたのです(爆)。古い土地に旅行する設定だと、なんらかの形でその土地の歴史を援用しなければなりません。
ぞろぞろと喫茶コーナーへ移動し始めた一行の前へ、おれは両腕を広げて立ちふさがった。
いまさらになって気がついたのだ。この班には仕切れる者がいないということに。
くずりだす未来。
女子とすれ違うたび軽口を叩くイタリア人ノリの池王子。
のんびりまったり土産物を物色しようとする兎実さん。
ミレイさんを撮影できなかったことがよほど心残りなのか、一眼レフをうなだれて歩く蛸錦。
まがりなりにも一行が搭乗口へ迎えているのは、最後尾に羊歯がついて歩き、
「あと十四分。あと十三分」
と一分刻みにカウントしているからだった。
(仙田学『ツルツルちゃん 2』)
主人公の映一を始め、イケチン王子や未来、兎実ちゃんらの主要登場人物はフラフラしています。青春モノには必須ですが、内面が固まっておらず、ふわふわしていると言っていいかと思います。しかし羊歯ちゃんは違いますねぇ。まあ彼女も同世代で同じ精神状態を共有しているのですが、何かの核をつかんでいる。ある意味羊歯ちゃんに引率されて修学旅行が始まるのでしたぁ。
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第14回) pdf版 ■
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第14回) テキスト版 ■
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第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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