日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの連載小説『偏態パズル』(第91回)をアップしましたぁ。永畠秋吉こと蔦崎公一の立てこもり事件の詳細編です。永畠秋吉(蔦崎公一)はダイイング・メッセージとも言うべき、謎の言葉を残したやうです。
永畠秋吉は人質解放のための、ある重要な国家的取り引き条件を口走った。その言葉は、当日中に《反国家主義的科白》と名づけられて報道されたが、なぜそのような名がつけられたのかはいまだに不明である。
《反国家主義的科白》は拡声器によってまわり取り巻く警察・野次馬・マスコミの耳に降り注ぎ、テレビを通じて全国に流された。それは「あの人たちを二十四時間以内にここへ連れてこい。あの人たちだ。いや、あの人たち系列のなかの三大美尻にしよう。三大美尻におれの言うとおりの行為をしてもらう。大革命だ! それを各キー局はアップでテレビ生中継で全国放映しろ。さもないと人質全員を殺し、このデパートを爆破する」というものだった。テレビを見ていた九割九分以上の人間には代名詞含みのこの科白の意味はただちにはわからなかっただろう。残る一分の人々から始まって、徐々に理解、もしくは当人たちが理解と思っている事柄がそれぞれの同心円を描いて波及し始めた。
(三浦俊彦『偏態パズル』)
このメッセージに対して、『国家もまたいや国家こそ機敏に反応した。行政や司法がこれほど機敏に反応できるのかというくらいに反応した』やうです。オロチ文化はやっぱ、国家のルールと本質的に対立するところがあるんだなぁ、うんうん。しっかし蔦崎公一さんは今回の暴挙で亡くなってしまふわけで、こりは『偏態パズル』といふサドマゾ一体的物語の倫理なのかもしれませぬぅ。
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第91回) pdf版 ■
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第91回) テキスト版 ■
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