お待ちかね、小説ジャンル越境作家、仙田学さんの新連載小説『ツルツルちゃん 2』(第09回)をアップしましたぁ。『第四章 ジュニアとコラコラ問答(上)』篇です。未来ちゃんとイケチンの、嵐を呼ぶプロレス対決が始まるやうです。
「ふうん。おっかしいなあ。ドーランはDiol、アイシャドウはChannel、口紅はBulcaliなんだけどなあ」
「なにっ」
池王子は目を剥いた。
「おれとまったく同じブランドじゃねえか。ありえねえ。なんでここまで不細工になれんだよ」
「素材の違いなんだろ」
「それにも限度がある。うおお……」
頭を抱えて座りこむ池王子の前で、おれは肩をすくめてみせる。
「だよな? ってことはやっぱ、化粧品の問題かあ。こんなの使ってちゃダメだよなあ」
「待て待て、そんなはずはねえ。なんかが狂ってる……よしっ」
勢いよく立ちあがると、池王子は便所の床を叩いた手でおれの両肩を掴んできた。
(仙田学『ツルツルちゃん 2』)
誰にでも弱点はあるやうで、イケチン君の弱点は、鏡依存症と飽くなき美の追究のやうです。でも美少女・未来ちゃんは、自分の美しさにじゅうぶん自覚的でありながら、強さを指向してるんだなぁ。前回『ツルツルちゃん』はぐるぐる小説だと書きましたが、〝君の名は〟(古っ!)小説でもあるんだなぁ。すれ違い小説でもありますぅ。
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■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第09回) テキスト版 ■
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