高島秋穂さんの詩誌時評『No.019 角川短歌 2015年09月号』をアップしましたぁ。特集『「私」をどう歌うか』を取り上げておられます。高島さんは松村正直さんの、『短歌を詠む作者「われ」に対して、短歌の中に出てくる「われ」を作中主体と呼ぶ』=『「われ」の二重構造』という議論から始めておられます。
こういったスッキリした思考は大事です。詩人さんは日常言語を使って非日常的な思想や感情を表現しようとしますから、どうしても詩論の論理が混乱しがちです。詩ぢゃないかと思えるような詩論(散文)をお書きになる方も多い。一種の職業病ですが、もう長い間この流行病は続いているので、そろそろ快癒した方がいい時期だと思います。散文で整理できることは、きっちりと論理的に腑に落ちるまで整理しておく方が創作の糧になると思います。
で、高島さんは松村さんの議論を踏まえて、『フィクションでまず想起されるのは小説です。小説のフィクション構造は多層的です。まず主人公を中心とした架空の登場人物が設定され彼らが生きる時代(時間軸)と場所(空間軸)が仮構され最後に叙述方法(文体)が設定されます。これらはすべて文字で作られた可変的フィクションです。しかし小説でも「作者」と「作中主体」の〝「われ」の二重構造〟が存在するのは言うまでもありません。(中略)フィクショナルな多重構造を持つゆえに作者と作中主体の距離がうんと開いて見えるのです。逆に言えば三十一文字の短い定型である短歌では作者と作中主体が接近せざるを得ません』と論じておられます。
高島さんはまた、『詩の世界では定期的に〝文学ジャンルは超えられるか〟といった議論が起こりますが安易な問いかけは無益です。作家が詩と小説ジャンルの本質を把握すればマルチジャンル作家として活動することはできます。しかし詩を小説にするのも小説を詩にすることもできません』とも批評しておられます。
文学金魚のマルチジャンルの考え方も、基本的には高島さんと同じです。ジャンルを超えるというのは、詩的な小説を書くことや、小説的な詩を書くことではありません。詩や小説といったジャンルは恐らく今後も絶対なくならない。それぞれのジャンルの特性(本質)を踏まえれば、作家はそれを越境できるだけのことです。ただマルチジャンル作家は重要です。現代では文学の役割が、人類文化全体から見て小さく縮小しつつあります。詩や小説の世界(業界)だけを〝世界〟と認識していたのでは二十一世紀の文学界を生き残れない。文学を総体的に捉える必要があります。
■ 高島秋穂 詩誌時評 『No.019 角川短歌 2015年09月号』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
テーマは〝ジャンルの越境〟です。そしてジャンルの越境は、人の現存在では性の越境にも置き換わる。文学金魚大学校第1回セミナーでは、早稲田文学の表紙を飾った伝説の仙田学さんの美しい女装姿が見られます! あらゆる制度の脱構築を意識することで、ジャンルの越境は初めて可能になるのです。我こそはという皆さまも、ぜひ女装・男装・コスプレのドレスアップでご来場ください。 超ステキな開催会場、日仏芸術文化協会もそれって大歓迎!とのこと!
■ 日時と会場 ■
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・会場:日仏芸術文化協会 (東京都目黒区中根2-19-2 東急東横線・都立大学駅より徒歩約10分)
* 閑静な住宅街の中に位置する素敵な一軒家です。
・参加費:3,500円
* 参加者の皆さんには金魚屋刊行書籍一冊(定価1,500円)をプレゼントします。
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
■ 参加お申込用メールアドレス ■
お申込みはseminar@gold-fish-press.comへ! 。氏名・電話番号、パーティ(懇親会)参加の有無を明記してください。先着50名(FB枠35名)です。会場設営の都合上、懇親会のキャンセルは
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■