山際恭子さんのTVドラマ批評『No.109 逃げる女』をアップしましたぁ。NHKさんで土曜日22時から放送されていたドラマです。主演は水野美紀さんで、仲里依紗、遠藤憲一、賀来賢人、田畑智子、高橋克典さんらが出演しておられました。ん~NHKさんは予算があるなぁ。原田美枝子さんや古谷一行さんをちょい役で使えるのはNHKさんだけだらうなぁ(爆)。
山際さんは、『傑作だった。評価は高く、ありがちだけれど視聴率は低かった。(中略)このドラマは難解であるがゆえに万人向きでないわけではない。難解ではないが、お約束を守っていない。そこについていけない、あるいは納得いかない、不安になるということはあろうか』と書いておられます。テレビっ子の石川もこのドラマ見ました。だいたい石川は、夜は飲みながらテレビつけて仕事することが多ひんだなぁ。んで思わず手が止まって見てしまふドラマは良いのでごぢゃる。『逃げる女』はしばしば手が止まったですねぇ。
山際さんはこのドラマについて、『調子のおかしい若い女を演じる仲里依紗はまさしく快(怪?)演だが、「おねえさんをいじめるやつは許さない」と、女主人公と一体化し、心中するような狂気に見覚えがないわけではない。瞠目すべきは、絶対的な母性を求める若い女の激しさに感応し、その狂気を理解する女主人公のあり様だ。これは今までテレビでは観たことがない。パトリシア・ハイスミス作品へのオマージュ、あるいは昔のフランス映画だ』と批評しておられます。このあたりが面白いんだけど、視聴率が今ひとつだった理由でせうね。
『逃げる女』のような内容は、本来は小説にふさわしいのであります。または観客が一定時間じっとしていなければならない映画向きです。もちろんテレビドラマとして、各回に盛り上がり箇所を設定していましたが、基本、心理モノですから登場人物たちの言動が澱のように見る人の中に溜まってゆく方がいい。ただ水野美紀さんも仲里依紗さんも良かった。山際さんは水野さんについて、『今まで魅力はあっても、これという代表作は思い当たらない女優さんだったが、40歳という設定で花開いた、日本人離れして美しい骨太の母性像として記憶に残るだろう。それを全世帯の 2. 何% が目撃したのだ。快挙と言うべきである』と絶賛しておられます。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.109 逃げる女』 ■
■ 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)は3月31日〆切です ■
金魚屋では21世紀の文学界を担う新たな才能を求めています。
小説はもちろん短歌・俳句・自由詩などの詩のジャンル、あるいは文芸評論などで、思う存分、新たな世界観、文学観を表現したい意欲的作家の皆様の作品をお待ちしております。