露津まりいさんの連載サスペンス小説『香獣』(第17回)をアップしましたぁ。今回はサスペンス小説のお手本のような回です。緊張をはらんだ複数の糸(意図)が絡まり合っています。十樹からの電話から始まるのですが、物語は株主総会になだれ込んで行きます。
「問題はですね」
蓬寺もさすがに、それに気づいたか抵抗を示した。「その女性たちが店内で刃傷沙汰の騒ぎを起こして、」
「桑林圭次行員は止めに入ったんだよ」
トップが甲高い声で割り込む。「警察沙汰にならんよう、まとめてやったんだ。おら、ぬしは知らんくせに、いい加減なことを抜かすなっ」
最後だけは、どうやらドスが利いている。
その間、スポットライトに照らされた壇上は静まり返っていた。
声、つまり言葉で表現しながら、どうやって読者にヴィジュアルを喚起するのかを、露津さんは心得ておられると思います。それにしても株主総会とか役員会議に、不肖・石川も出たかったなぁ(爆)。役員になって、一回くらい「緊急動議っ! 社長解任を要求しますっ」とかやってみたかったです。でも平社員で終わるんだろうなぁ(爆)。
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