ラモーナ・ツァラヌさんの連載エセー『交差する物語』『No.020 花の名前』をアップしましたぁ。ラモーナさんのお父さんは、事務方ですが軍関係のお仕事をなさっていたやうです。あ、ルーマニアとラモーナさんの故郷スチャヴァ県の位置を確認しておきませう。Google様で一瞬で検索できる時代になりましたからねぇ。ほんのちょい前まで、県まで載っているルーマニアの地図を持っていること自体がなんとなく特権的だったのです。ネットの登場で人間の感性や知性の在り方が変わるはずだわ(爆)。
国の兵隊がアフガニスタンへ派遣されるようになってから、二回もスチャヴァ県出身の兵隊が戦場で命を失くした。二人のリクルートを担当したのはうちの父親だった。父親の仕事は兵士が戦死するたびに、遺族に会って兵隊が亡くなった際の事情を説明することだった・・・葬儀に参加した後の父親の顔を思い出す。しばらくは無口で、何を考えているか誰にも言わない。「国の名誉のために亡くなった」という社会的栄誉があり、それは残された家族の慰めにならないという事実があり、危険を承知の上で本人が自らの意志で戦場に行ったという経緯がある。様々な事情がぶつかり合う中で戸惑う人間の顔だった。
ラモーナさんのお父さんはなかなか辛いお仕事も担当しておられたやうです。日本の国会では現在、集団的自衛権を巡る法案が審議されています。不肖・石川、正直言えば完全無欠のノンポリなんですが、少なくとも現状でのあらゆる事態を想定した、辞書一冊分くらいの適用条件や範囲を厳密に決めないまま法案を通すのはどうかなぁとは思います。偶発的な衝突であれ、同胞の兵士が数人でも戦死するといった出来事が起これば、世論って簡単に変わりそうな気がします。特に日本といふ国はそういった傾向が強いだろうなぁ。既成事実で世論誘導という愚はもう繰り返したくなひですよね。
あ、お父さんが軍関係のツァラヌ家から、なんで日本の能の研究者が出たんでせうね(爆)。世界中で言えることですが、ご先祖を辿るとなんとなく孫やひ孫の代になって、こういふ人が出たということが肯けるお方がいたりするものです。ラモーナさんのファミリー・ヒストリーはどういふものなんでしょ。ちょいと興味がごちゃりますぅ。
■ ラモーナ・ツァラヌ 連載エセー 『交差する物語』『No.020 花の名前』 ■