金井純さんのBOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.038 おさんぽ 江國香織著 イラスト・こみねゆら』をアップしましたぁ。こみねゆらさんの絵は、宇野亞喜良さんとはまた違う魅力がありますねぇ。江國さんの画家の活かし方がうまひせいかもしれません。『おさんぽ』は、レースのスカートを手に入れたおんなのこがおさんぽに出るといふ単純なお話です。んでもちろん江國さん的な複雑なお話になっております。
金井さんは「自立した幼い女の子のモチーフは、江國香織の作品にときおり登場する。・・・わかっているのは、それがいつも変わらず、実は女の子の夢だということだ。おんなのこには親がいない。すなわちしがらみがない、これも江國香織の理想とする女の子像だ。女の子たちはたいてい、しがらみによって期待される像を演じさせられている。そこをどうやり過ごすかこそが戦略であり、テーマであるとも言える。しかしそれは社会的な戦いなどではない」と書いておられます。おさんぽは、おんなのこそのものの物語であります。
金井さんのレジュメを引用すると、『おさんぽ』は「もぐらとへびに出会って、それから高飛車なお皿を家に連れ帰る話」ですが、この単純なプロットの中に江國さんの思想や感性が的確に表現されています。「家庭を守る女性の象徴であるお皿とエプロン(前だけになったスカート)を手に入れた、と彼女は思う。そう、おんなのこというものは求められるまま与え、失うものなど何もないのだ」と金井さんは批評しておられます。江國-こみねさんの絵本の傑作であります。
■ 金井純 BOOKレビュー 『絵のある本のはなし』『No.038 おさんぽ 江國香織著 イラスト・こみねゆら』 ■