金井純さんのBOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.037 カエルの王さま-あるいは鉄のハインリヒ 江國香織著 イラスト・宇野亜喜良』をアップしましたぁ。江國香織さん著で、イラストは昨日インタビュー後編をアップした宇野亞喜良さんです。
『カエルの王さま』はよく知られた物語です。金井さんは「美しい姫は池にまりを落とし、取ってきてくれたら何でもする、とカエルに約束する。取ってきたまりを持って逃げてしまった姫を追いかけ、カエルは姫と食卓をともにすることを要求します。・・・ベッドでともに眠ることを求められ、姫はカエルを壁に投げつけます。するとカエルは王子の姿となり、姫と結ばれるのです」とレジュメされています。しかし江國さんの本は『あるいは鉄のハインリヒ』という副題が付いています。金井さんが書いておられるように、この本は「心臓が破裂しないように3つの鉄の輪で締めつけていなくてはならなかったほどのハインリヒの心労こそがすべてを物語り、しかし何も語られてはいない、ということではないか。つまりはこの話の中心は、ハインリヒの鉄の輪なのだ」といふことです。
詳しくはコンテンツ本文をお読みいただければと思いますが、宇野さんのイラストは江國さんの『あるいは鉄のハインリヒ』という副題をよく理解された素晴らしいものです。金井さんは「表紙も含めて挿絵は古びた木目の背景に、すなわち古びた語りに閉じ込められたように描かれている。姫と王子が馬車で行くとき、ハインリヒの鉄の輪は音を立てて弾ける。すると背景の木目はなくなり、白く解放されるのだ。よくわからない昔語り、その詳細は永遠に知れない。ただ、そこに囚われた者の強い観念と忠誠、情熱。私たちに近しいのはそれなのである」と批評しておられます。
■ 金井純 BOOKレビュー 『絵のある本のはなし』『No.037 カエルの王さま-あるいは鉄のハインリヒ 江國香織著 イラスト・宇野亜喜良』 ■