露津まりいさんの新連載サスペンス小説『香獣』(第14回)をアップしましたぁ。芙蓉子は エゼーナの小宮路にトップ屋の小野寺を紹介します。情報化社会ではありますが、やっぱ人が持ってる情報が一番重要だったりするんだよなぁ。各業界の偉い方にお会いするのはなかなか難しいわけですが、知り合いの紹介などがあると、びっくりするくらいスムーズに事が運んだりします。基本的には利害で動く経済界などは特にそうです。『ミセス画報』の『雅びなお正月特集』で釣るなんぞはなかなか憎いでありまふ。
小説では現実のディテールを描けば描くほど、物語を進めやすくなるところがあります。主人公は会社はもちろん、コンビニやクラブなどで働いていたりするわけですが、そこでの勤務シフトや人間関係などを抑えておくと、枝葉からリアリティが生じるのですね。だから小説家は取材するわけですが、取材した内容を詰め込みすぎると、今度は物語が停滞してしまふ。こんなに仕事に習熟していて、なんでアルバイトなの?派遣社員なの?といったことになりかねない。作品への取材の案配はけっこう難しいのです。
前回連載していただいた『贋作師』もそうですが、露津さんの取材反映はスマートですね。「こんな上等の紹興酒には氷砂糖など入れるものではないと、教えておくまでの余裕がなかった」とか、要所要所で登場人物の性格が浮き彫りになるような記述を挟み込んでおられます。謎は犬のような嗅覚を持つ十樹君ですな。このセレブの坊ちゃん、今のところまったくつかみ所がないのでしたぁ。
■ 露津まりい 連載サスペンス小説『香獣』(第14回) pdf版 ■
■ 露津まりい 連載サスペンス小説『香獣』(第14回) テキスト版 ■