北村匡平さんの映画批評『創造的映画のポイエティーク』『No.011 「描写」による「意味」の転覆の政治学―アルフレッド・ヒッチコック『レベッカ』』をアップしましたぁ。アルフレッド・ヒッチコック監督の1940年制作の名画です。主演のヒロインはジョーン・フォンティーンで、彼女の夫をローレンス・オリヴィエが演じています。家政婦長役のジュディス・アンダーソンも強く印象に残る演技をしています。
北村さんは「映画における「声」の使われ方」から『レベッカ』を読み解いておられます。「女性の「声」は身体化され、物語空間・・・に同調・・・するのに対して、男性の「声」は脱身体化し、しばしばヴォイス・オーヴァーという形態をとるのである。つまり、この物語を超越した男の「声」こそが、すべてを知りつくし、時間をも超越する男性主体の権力の位置を指し示している」わけです。このような男性(主体)中心的映画とは対照的に、「女性主体をもつ映画が、アルフレッド・ヒッチコックの『レベッカ』」です。
ローレンス・オリヴィエ演じるマキシムは、「家父長的イデオロギー」を体現する人物(悪い人ぢゃありませんけど)として描かれています。でもまだ少女的心性を持っているヒロインは、夫・マキシムの期待に添おうとしながらそれを逸脱してゆきます。もちろん1940年制作の映画ですから、ヒロインは最後は男性的(家父長制的)規範に納まってしまひます。でもそこに至るまでに、ヒロインを始めとする女性たちの心理が様々に揺れる。そこに男性中心的社会(制度)を揺るがすヒッチコックの様々な仕掛けがあると北村さんは読み解いておられます。けっこうムズイですが刺激的な読解です。じっくりお楽しみくださいっ!。
■ 北村匡平 映画批評 『創造的映画のポイエティーク』『No.011 「描写」による「意味」の転覆の政治学―アルフレッド・ヒッチコック『レベッカ』』 ■