山際恭子さんのTVバラエティ批評『No.042 LIFE!~人生に捧げるコント~』をアップしましたぁ。ウッチャンナンチャンの内村光良さんがメインキャストのコント番組です。本業のコントになると、キャスティングにも内村さんの好みが出ますねぇ。お笑い界からはココリコの田中直樹、我が家の坪倉由幸、ドランクドラゴンの塚地武雄さんらがキャスティングされています。俳優では塚本高史、西田尚美、石橋杏奈さんらが出演されています。いかにも内村さん好みのキャスティングです。
山際さんは番組の印象を、『なんとも品のいい笑いである。・・・この品のよさは、無意味さからくるものだ。・・・強いて「人生」に繋げれば、人生とはこのように無意味なものだ、ということだろうか。・・・爆笑ではないし、それを狙ってもいない。温かみのある笑い、というのとも違う。笑うしかない、という感じか』とまとめておられます。また『だいたいウッチャンという人は、人間以下のものになりたいようだ』、『それになりたい、という欲望がほの見えるのだ。その欲望に対して、笑うしかないのである。爆笑ではなくて、笑いが漏れる、という感じ』とも批評しておられます。
ウッチャンナンチャンが、ヒーロー指向(南原清隆さん)と人間以下願望(内村さん)を持つ二人のお笑いコンビであるのは確かでしょうね。山際さんが指摘されているように、『完全に超人間的なものと人間以下のものというのは、表裏一体』ですから、コンビとしてはバランスが取れています。しかしピンとしてコントをやると、断然内村さんの方が面白い。ヒーローでは笑えないですが、人間以下の存在に対しては、恐れるか笑うしかないわけです。内村さんが憑依する人間以下存在は笑いを誘いますが、どこか得体の知れない怖いものを想起させます。
ダウンタウンの松本人志さんもそうですが、内村さんも濃厚に普通のお笑いには飽きたという雰囲気を漂わせています。だからこの二人が作り出すコントは、出来不出来はあっても視聴者の視線を釘付けにしてしまふ。ただ松本さんが能動的笑いを好むのに対して、内村さんの笑いは受動的です。いじめられ、虐げられるほど内村さんは活き活きとしてきます。自閉症的露出狂といった絶対矛盾を感じさせるやうな、独自のお笑いでありまふ(爆)。
■ 山際恭子 TVバラエティ批評『No.042 LIFE!~人生に捧げるコント~』 ■