外賀伊織さんの連載恋愛小説『ぐるぐる』(第12回・最終回)をアップしましたぁ。今回で最終回であります。小説構造やテーマから言っても純文学系の作品だと思いますが、事件を起こし、明確な輪郭を持った登場人物たちが交錯して従来とは異なる上位審級の心性に達するところが外賀さんの小説の面白いところです。金魚屋では外賀さんに恋愛系小説をお願いしたわけですが、『多摩川左岸』もそうでしたが『ぐるぐる』も単純な好き好き嫌い物語では終わりませんでしたね。
別に明確なルールはなく、例外を探せばいくらでもリストアップできるわけですが、日本の純文学が私小説的であるのは確かです。前衛系の作品でも登場人物の心理描写が中心になります。しかし個の限られた心性で世界の変化を捉えきることはできない。個を激しく揺さぶる事件が必要なのであり、それが物語を中核に据えた小説の醍醐味になると思います。不肖・石川、文字どおり家族の間で板挟みになる栞ちゃんの物語、楽しませていただきました。
少し間が開きますが、外賀さんにはまた小説を連載していただく予定です。外賀さんは評論やエセーもお書きになれる方ですので、それまでの間、ぼちぼちそういったコンテンツを書いていただきます。あ、外賀さんの次作は少し実験的な作品です。といいましても一過性のポスト・モダニズム文学に染まったやうな作品にはならないでせうね(爆)。お楽しみに~。
■ 外賀伊織 連載恋愛小説『ぐるぐる』(第12回・最終回) pdf版 ■
■ 外賀伊織 連載恋愛小説『ぐるぐる』(第12回・最終回) テキスト版 ■