金井純さんのBOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.014 せいめいのれきし』をアップしましたぁ。バージニア・リー・バートンさんの名著『せいめいのれきし』です。リー・バートンさんはアメリカの絵本作家です。『せいめいのれきし』は1962年刊ですから、もう古典中の古典と言っていいかと思います。宇宙誕生から現代の人間社会に至るまでの壮大な歴史(時間)を、5幕8場という劇の構成によって絵と文章で表現した作品です。
人間が登場する遙か以前の時間から始まる絵本であるため、金井さんは『相対化され、記号のような存在として縮退化される、という感覚は、子供にとっては少し恐ろしいかもしれない』と書いておられます。しかし『子供は、恐ろしいという感覚が嫌いではない。自身がものの数ではない存在として、お化けに取って食われるといった恐ろしいファンタジー同様、自身がひとつの記号として歴史の巻物の中に、なすり込まれて終わるということは、この本のページを繰り返し繰らせる魅力である』と論じておられます。
金井さんは『せいめいのれきし』は、『子供に世界像を与えるものだ。この世界がどのように生まれ、どのような姿をして、それを与えた神的な存在がどのようにイメージされるのか。子供たちはまったく何も考えていないか、もしくはそんなことばかり考えている』と書いておられますが、不肖・石川も激しく同意です。
〝世界とは何か〟はどの時代、どの民族、どの宗教体にとっても重要なテーマです。もちろん文学にとっても。文学者の子供っぽさが社会的に許容されるとすれば、それは子供の頃以来の〝世界とは何か〟という問いを持続し続けている場合に限られると思うわけです。
■ 金井純 BOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.014 せいめいのれきし』 ■