星隆弘さんの連載演劇批評『現代演劇の見(せ)かた』 『No.014 集団:歩行訓練『ゲームの終わり』』をアップしましたぁ。京都の小劇場KAIKAで3週間に渡って行われた舞台芸術イベント「岩戸山のコックピット」で上演された作品です。岩戸山のコックピットは「巨大人型ロボット」の「原寸大の操縦室がそのまま「舞台」」になった劇場で、座席数は50席です。一度入場すれば退場不可能といふ劇場でもあるやうです。
集団:歩行訓練の『ゲームの終わり』は、この劇場空間の特徴を十分に意識した、息苦しくもスリリングな舞台だったようです。ベースになっているのはサミュエル・ベケットの戯曲『勝負の終わり』ですが、演出家の谷竜一さんによって、戯曲のテキスト(言葉)以上の舞台効果が加えられています。星さんが『福井県大飯郡高浜町の映像、コックピットという舞台装置、戯曲『勝負の終わり』という三つの時空間が、平行して上演空間に存在している』と書いておられる通りです。福井県大飯郡高浜町は演出家谷さんの故郷で、高浜原子力発電所や大飯原子力発電所があります。
『勝負の終わり』という戯曲は、『『ゴドーを待ちながら』が大受けを期した際、ベケットは演出家に「こんな大当たりになったのは、きっとよくないところがあったからに違いない。今度は気をつけよう」と言った・・・次回作』です。それは何ごとかの終わりを示す(見出す)ための戯曲ではなく、むしろ終わらないこと、解決しないもどかしさと不快さを表現した作品です。星さんは『『勝負の終わり』はいまだその確認作業中にある。・・・ベケット劇の不快さに我々はまだまだ付き合わなくてはならない。・・「解釈に欠ける」との批判も当然起こる。しかし本作においてベケットの戯曲はほとんど損なわれていない』と批評しておられます。
■ 星隆弘 連載演劇批評『現代演劇の見(せ)かた』 『No.014 集団:歩行訓練『ゲームの終わり』』 ■