山際恭子さんのTVバラエティ批評 『 No.026 第 64 回紅白歌合戦』 をアップしましたぁ。不肖・石川もお酒を飲みながらうだうだ見ておりました。今年の紅白は、GAGA さんや矢沢永吉さんが登場するなどの目玉はなかったですが、なんか盛り上がっていました。実際、瞬間最大視聴率で 『半沢直樹』 を越えたそうですね。司会の綾瀬はるかさんや 『あまちゃん』 の能年玲奈さんのグタグタぶりもよかったですねぇ (爆)。美空ひばりと都はるみのコールを間違えて、アナウンサーの首が飛ぶ時代はおわったのだなぁ~。
石川の少年時代、紅白はなんとなく居心地の悪いものでありました。演歌と歌謡曲とフォークとロックがごっちゃになっていることに、なんか納得できないものがございました。しかし今では視聴者が、それら全部が日本の音楽なんだと、なんの異和感もなく受け入れる時代になった。良質の音楽ショーになっていればそれでいいわけです。
それを山際さんは、『歌謡史・アイドル史を、AKB48 を、朝の連ドラの文脈を脱構築してみせた 「あまちゃん」 は紅白出場によって、「皆さまの NHK 」 というものそのものを脱構築していることを気づかせた。その光景は、あの 「ひょうきん族」 全盛期のフジテレビを髣髴とさせる』 と書いておられます。晩期 『ひょうきん族』 では笑いのメタ化が起こっていましたが、確かに今回の紅白もそれに似ていたやうな。視聴者はアイドルや物語の裏事情を十分知りながらそれを楽しんでいる。要するになんでもアリなのであります。
脱構築とかポスト・モダンは哲学や文学の専売特許的概念ですが、実際にそれが進行しているのは文学の世界ではなく、音楽・芸能の世界だと思います。善し悪しは別として、音楽・芸能業界は世界の変化に合わせて新たなマーケットを開拓している。文学業界は立ち遅れていますね。むしろ一部で既得権にしがみつこうとうする傾向も見られる。しかし外の世界と同様に文学界も変わっていきますよ。それは誰にも止められない。いきなり見たこともない新しい文学が出現することはないでしょうから、過去の文学遺産はこれからも重要です。しかし今まで通りの文学業界遊泳術は徐々に通用しなくなっていくでしょうね。
■ 山際恭子 TVバラエティ批評 『 No.026 第 64 回紅白歌合戦』 ■