外賀伊織さんの連載恋愛小説 『ぐるぐる』 (第 05 回) をアップしましたぁ。栞ちゃん、思いっきりママに振り回されておりますな。でもこういう母娘関係って案外多いかも。現代は大人になりきれない親と、いつまでも未熟な子供が家族を形成している面があるのですが、その方が実は人間本来の姿に近いかもです。不肖・石川、年を取ってきてつくづく思うのは、人間、見た目ほどには内面は成熟しないものだなぁといふことであります (爆)。
心理学としてはもう古典ですが、母子関係は一種の繭です。温かい羊水に包まれた、閉じたユートピア世界のイメージですね。しかしそれでは子供は自立しない。この関係を壊すのが父的なるものとされています。それは密着した母子関係に割って入り、繭を破って子供を外に引き出すわけです。父と子の対立は、子供がいずれ経験するだろう、個と社会との対立構造の前哨でもあると言えます。
母子密着、父子対立構造はそう簡単に消滅するものではありません。しかし時代の変化とともに微妙に変わりつつあるのも確かです。小説はそのような変化を物語にする芸術ですが、大衆文学はセンセーショナルな変化の諸相を描き、純文学は変化を踏まえながら、いつの時代も変わらない古典的な側面を描き出すという傾向があります。で、外賀さんが描く壊れかけた家族はどんな道を進んでいくのでせうか。不肖・石川、楽しみでありますぅ。
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■ 外賀伊織 連載恋愛小説 『ぐるぐる』 (第 05 回) テキスト版 ■