外賀伊織さんの連載小説 『ぐるぐる』 (第 04 回) をアップしましたぁ。栞ちゃんの家庭の軋轢はだんだん高まっていきますな。一昔前に比べると、日本人の家庭像はだいぶ変わってきました。えっらい古い話になってしまいますが、親は親らしくといふ社会通念には儒教の影響があったと思います。儒教の中核は正名論、つまり有本質論です、簡単に言うとすべての物事には本質があるといふ考え方です。親には親の本質があり、その本質に誠実でなければならないわけです。しかしそれが消滅してしまった。
で、儒教では物事が各々の本質を失えば社会は混乱に陥ってしまふわけですが、もちろんそんなことはありません。親が親であることには変わりがない。しかし規範を失った親が形作る家庭は以前とは違う多様なものとなります。様々な歪みが噴出するわけです。小説は現実世界を描く芸術ですから、この歪みを描写すれば物語はできあがります。問題はその先ですね。現代的な歪みと混乱が、なにによって調和されるのかがアポリアになります。外賀さんがそれをどう描くのか、楽しみであります。
そんで外賀さんはこれから、前から取りかかっておられる自由詩と、新しい小説を書き始めるやうです。小説の方は、『オーソドックスな作品を 2 本書いたから、次は少し冒険したいなぁ』 といふことでした。不肖・石川、ぐわぁしぐわぁし書いてくださる著者の方が大好きです。ほんでこそっと告白すると、あんまし好きじゃない著者は書かないで先生気取りのお方 (爆)。書くことを仕事にしたいなら、なにがなんでも書くべしであります。
■ 外賀伊織 連載小説 『ぐるぐる』 (第 04 回) PDF版 ■
■ 外賀伊織 連載小説 『ぐるぐる』 (第 04 回) テキスト版 ■