山際恭子さんのTVドラマ批評 『No.029 山田くんと7人の魔女』 をアップしましたぁ。日産自動車提供の深夜ドラマです。私立・朱雀高校には 7 人の魔女がいて、主人公・山田竜 (山本裕典さん) がその謎の解明にいどみます。不肖・石川も何回か見ましたが、秀逸な仕上がりです。山際さんは 『プロットからわかるように、ここに主としてあるのはストーリーでなく、ゲームとそのルールである。・・・高校という場の設定と、キスという人間関係性を象徴するポイントのルールによって、このゲームは任意の場所で情緒的なカラーを帯びる』 と書いておられますが、確かにゲーム感覚のライトドラマです。石川の同級生には、ドラマに登場するような美男子や美少女はいませんでしたからねぇ (笑)。
そんで 『山田くんと7人の魔女』 は、CMやゲームアプリとしても展開しています。いわゆるスピンオフ企画を積極的に展開しているわけです。これは今後の世の中の必然的流れになっていくだろうなぁ。魅力的なコンテンツを様々な方法で解釈して、さらにその魅力を引き出していく方法です。ネット時代にはこの方法が加速するでしょうね。新聞、テレビといった巨大メディアは、いずれネット世界の巨大メディアと提携・合併しますよ。そうしないと生き残れない。情報が画一化される危険があるわけですが、特定メディアの情報が相対化され、ある事件 (コンテンツ) が持つ情報が多層化され、多角的に検討されるといふメリットもあるわけです。
山際さんは 〝ゲーム感覚〟 について、『けれども私たちの日々の営為というものは、果たしてどれほど深層的で 「人間的」 なものなのか。恋愛ですら、たいていは与えられたイメージをあるべきものとして 「コピー」 する恋愛幻想に過ぎず、それは人間ドラマとか文学に対する幻想と変わるところがない』 と書いておられます。まあその通りであり、あらゆる裏情報まで簡単に入手できる高度情報化社会では、むしろゲーム的な楽しさや喜びがないとビジネスは成功しないでしょうね。スティーブ・ジョブスが尊敬されるのは、彼が 〝遊ぶ人 (ホモ・ルーデンス) 〟だったからではないでしょうか。あ、石川も、金魚屋の編集の仕事を 〝金魚飼育ゲーム〟 だと書いたことがありますね (笑)。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.029 山田くんと7人の魔女』 ■