大野ロベルトさんの連載評論 『『無名草子』の内と外―読み、呼び、詠み、喚ぶ― (第003回) 異界への出発』 をアップしましたぁ。早いものでもう第3回目ですね。今回はいよいよ主人公の老尼が異界へと足を踏み入れます。老尼がさまよい込むのは『源氏物語』 と 『仏教』(思想) の世界です。この異界に現れるのが男っ気のない美しい女房たちです。〝いよっ!日本文学っ!〟 と掛け声をかけたくなるような見事な導入部ですね (笑)。
ぜんぜん関係ないのですが、〝3〟 は文学にとって魔の数字です。編集者目線で言うと、『俺はまだ本気出してないだけだぁ~』 と思っていても、3本くらい作品を書くと力尽きてしまふ著者がとぉっても多いです。漠然と書くこといっぱいあると考えていても、書いてみると意外に早くタネが尽きてしまう。評論ならだいたい原稿用紙50枚くらいでネタ枯れかな。
最近の文学系新人賞は、新人使い捨て傾向にありますが、それも故ナシとは言えないかな。面白ネタで3本 (3冊) 書かせて、その勢いで5本くらいは引っ張って、いよいよネタが尽きたら次の新人さんを使うと。そんでもたいていの作家は、デビューできないよりマシって考えるんでしょうけど、なまじデビューしちゃった方が実は辛いかもです。
ふんぢゃあこの魔の敷居をどう乗り越えるのか。矛盾するようですが、出し惜しみせずに、早いこと全部書いちゃうことです。本当に 〝本気〟 なら、時間がかかっても書きたいことが湧き出してくるはずです。ムリに書こうとすると内容のない文章を書くことに慣れてしまい、ますますドツボにはまっちゃうので、沈黙期間があってももいい。
もちろん大野さんは3の敷居を軽々と超えていくでしょうね。ちょっと前に、入手困難なので、イレギュラーですが大野さんの限定本のコピーを読ませていただきましたが、彼はとっても優秀な詩人・批評家だと思います。
■ 大野ロベルト 連載評論 『『無名草子』の内と外―読み、呼び、詠み、喚ぶ― (第003回) 異界への出発』 ■