樂月慎さんの連載小説 『色恋セラピー 第4回 逸脱路線図 (中)』 をアップしましたぁ。明確な規定はありませんが、小説の世界には 〝サラリーマン〟 小説と呼ばれるジャンルがあります。サラリーマン生活を題材にした作品です。サラリーマンとして働いておられる方は、『そんなもの、面白いかぁ』 と思われるでしょうね。不肖・石川も同感です。
裁判や警察、医療を題材にした小説は 〝事件〟 を物語の核にする傾向があります。これに対してサラリーマン小説の核は基本的に平穏な日常です。この平凡とも言える人間の日常に事件が起こるわけです。当然、その質は犯罪などとは異質のものにならざるを得ません。殺人や陰謀などいわゆる公的事件とは別種の、日常の中に潜む狂気や葛藤を描き出すのがサラリーマン小説のだいご味だと言えます。
樂月さんの作品は、広義のサラリーマン小説であることが多いです。でも企業を救うようなカッコイイ研究者や管理職は現れません。ドロドロとした欲望と不満を抱えながら、サラリーマンという枠組みから逃れられない人間ばかりです。その姿は愚かしく、格好悪い。でもその愚かしさ、恰好悪さを正直かつ露骨に描けば描くほど、作品の質は高まります。小説というのは奇妙な表現ジャンルだと思います。
■ 樂月慎 連載小説 『色恋セラピー 第4回 逸脱路線図 (中)』 PDF版 ■
■ 樂月慎 連載小説 『色恋セラピー 第4回 逸脱路線図 (中)』 テキスト版 ■