後藤弘毅さんの連載映画批評 『No.034 『戦争と一人の女』―いわば日本の終末映画』 をアップしましたぁ。無頼派として知られる坂口安吾の同名小説の映画化であります。今年のゴールデンウイークにテアトル新宿などの映画館で全国ロードショーされます。主演は江口のりこ、永瀬正敏さんで、村上敦、柄本明さんらが脇を固めています。
江口さん、貴重な女優さんですよねぇ。なんでも演じられる俳優さんです。小説などが典型的ですが、ドラマ （物語） の主題は圧倒的に男と女と金の問題が多いわけです。それを映像化する場合、セックスシーンを演じてくれる女優さんが不可欠です。でもいないんだなぁ。まあ、ちょっと脱いだくらいで大騒ぎするメディアや観客も悪いんですが、物語のコードとして、きっちり性的シーンを演じてくださる女優さんがいないとその先には進めない。タブーなく演じてくれる女優さんは江口さんと寺島しのぶさんくらいかな。
安吾の小説世界がどのように映像化されているのかは、後藤さんのコンテンツをお読みいただければと思いますが、『堕落論』 の作家らしい過激なものになっているようです。もちろん安吾の 〝堕落〟 は反語であります。戦後作家のほとんどがこの反語を生きたと言ってもいいかな。現実的にも精神的にも極限までやせ細ることで、戦後の作家は思想のゼロ地点からその作品世界を組み上げて行きました。何も信じられないという肉体的確信から思想が生まれているように思います。
■ 後藤弘毅 連載映画批評 『No.034 『戦争と一人の女』―いわば日本の終末映画』 ■
