【金魚屋新人賞受賞作】菅原美架 新連載小説『読書室~あるいは自己愛の解剖室』(第01回)をアップしましたぁ。菅原美架さんの金魚屋新人賞受賞作『読書室~あるいは自己愛の解剖室』の連載開始です。菅原さんの小説掲載は『赤ちゃん貸します』に続いて二作目です。かなり特徴のある小説です。作家の表現主題もハッキリしています。
派手さはありませんが、菅原さんの主題は人間心理が生む未必の悪意のようなものです。ただし犯罪的なものではありません。この悪意のようなものは人間存在が決して逃れられない自己愛から生じています。強い自己愛は人間の世界認識を歪める。人間は社会的動物ですから、他者と接触する際にそれが自ずと溢れ出し自己と他者を奇妙な共犯関係に巻き込んでゆくのです。
もちろんそういった小説を書くためには、作家自身の中にも確実にある強い自己愛を遠いところから相対化して捉える必要があります。ただし相対化し過ぎると迫力が失われる。甘美でもある自己愛が破れ目を見せたときにある種の痛切な破綻、カタストロフが訪れる。それはいつか必ずやって来る破綻なのですが、その道筋は性急であっても遅すぎてもいけない。この感覚を研ぎ澄ませてゆけば太宰治的フィクショナルな自己愛破綻小説も書けるでしょうね。太宰小説は甘美です。
単なる自己愛小説も、苦しいだけの自虐小説も読者は熱心に読んでくれません。自己愛は基本、甘美なもの。その悪徳に似た甘美さがなければ破綻に向かうにせよ自己愛小説は成り立ちません。
■【金魚屋新人賞受賞作】菅原美架 新連載小説『読書室~あるいは自己愛の解剖室』(第01回)縦書版■
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