後藤弘毅さんの 『連載映画批評』 『No.031 『トータル・リコール』―落下するアクション、あるいは活劇の構造』 をアップしましたぁ。アーノルド・シュワルツネッガーさん主演の同名映画のリメイクですが、後藤さんはこの映画を 〝落下 (fall)〟 というキーワードで読み解いておられます。
この映画ではとにかく主人公が落下し続けるようです。それが映画の主題につながってくる。主人公が落下から這い上がることは巨大な権威の失墜につながり、落ちそうで落ちない主人公を追い続ける敵役の姿が、権力が持つ力とその謎をいやが上にも強調してくれます。単なる娯楽リバイバル映画として見てはいけないんですねぇ。
ちなみに SF 映画の名作として知られる 『トータル・リコール』 や 『ブレード・ランナー』 は、いずれもアメリカの SF 作家、フィリップ・K・ディックの原作です。K・ディックは SF の枠組みを使いながら、自分とは誰か、人間とはなにかといったアイデンティティの不安を描き続けました。最近 の『ボーン・アイデンティティ』 に至るまで、K・ディック的な主題はハリウッドで生き続けていますね。K・ディックもちぇきらっ!であります。
■ 後藤弘毅 『連載映画批評』 『No.031 『トータル・リコール』―落下するアクション、あるいは活劇の構造』 ■