谷輪洋一さんの文芸誌時評 『No.004 すばる 2012年07月号』 をアップしましたぁ。昨日、『文學界』の時評をしていただいている大篠さんの文章はコワモテだと書きましたが、谷輪さんも同じだといふことを確認できる内容であります。厳しいことをおっしゃいますなぁ (笑)。
読者でも作家でも、文学の世界全体を見渡せる人はほとんどいないと思います。でもねぇ、文学金魚の編集者をやってて文芸誌時評を全部読んでいると、これがだんだんわかってるくるんだなぁ。
俳句の世界って、その大半が初心者マーケットです。「待ってました停年」 ではないですが、生き甲斐を求めて俳句を始めようという初心者を最大ターゲットにしています。だから俳句雑誌はおっそろしく平明なんですね。
自由詩の世界にはマーケットが存在しません。詩集は 99% 自費出版で、詩誌は自費出版を募るための宣伝塔ですね。詩を学ぶのも、詩集を出すのもすべて自助努力という意味でははすっきりした世界ですが、恐らく一番厳しい文学ジャンルであります。
小説は大衆文学は盤石です。問題は純文学。中途半端なマーケットであります。毎回毎回奇跡的な話題作りをして、なんとか純文学を延命させている感じです。しかし純文学は形骸化し始めています。純文学的なモノは残ると思いますが、形式は変わるでしょうね。
いずれにしても、どの文学ジャンルも過渡期といふか、転換期にさしかかっているのは間違いないです。俳句や自由詩の世界は底を打った感じがしますし、小説もまた、既存の方法論や形式が無効になり始めています。
文学って、長い目で見ると、ものすごく社会の影響をビビッドに受けています。今、経済は不況で、政治は先の見えない泥沼状態です。文学も同じですね。これをどう抜けていくのか、どう変わっていくのか、楽しみであります。石川はあくまで楽天的なのでありますぅ。