後藤弘毅さんの連載映画時評 『映像の表現型-あるいは映画批評の探検-』 の 『No.002 『J・エドガー』 あるいは嘘に満ちた伝記映画』をアップしましたぁ。クリントイーストウッド監督、レオナルド・デカプリオ主演の映画であります。後藤さんの映画評はどんどん届いております。金魚屋執筆陣では一番筆力がおありになるかも。後藤さん、今後ともよろしくお願いしますですぅ。
今回後藤さんが取り上げられた映画 『J・エドガー』 の主人公、J・エドガー・フーバーは、1924 年から 72 年に亡くなるまで、なんと 48 年間も FBI (アメリカ連邦捜査局) の長官を務めた実在の人物です。ほぼ半世紀も政府中枢の要職に留まるなんて、現代の資本主義国家ではもう考えられないことですね。アメリカでは国内の重要問題・事件を FBI が担当し、CIA (中央情報局) が対外諜報活動を行うわけですが、1970 年代以降、徐々にその活動に関する情報公開が行われています。その理由の一つに、FBI の帝王として君臨したフーバーへの反省があるのは間違いないでしょうね。
権力者は本質的に沈黙の人です。要職を退いた後に回想録などを出版することはありますが、肝心のことは書かれていないのが普通です。というより書けないのでしょうね。エドガー・フーバーのように、国内諜報活動に従事していた人はなおさらです。フーバーはアメリカでは超有名人ですが、その性格や私生活はよくわかっていません。イーストウッド監督は、神話的であり、また権力の闇を体現するようなフーバー像を描こうとしたようです。
後藤さんは「母のネックレスや服を身にまとい、胎児のごとくうずくまる彼を映したシーンは美しい」 と書いておられます。このシーン、まぢ見たいですね(笑)。Tsutaya で DVD 借りて見やうと思います。いろんな映画の楽しみ方がありますが、僕は記憶に残るようなワンシーンがある映画が好きです。イーストウッド監督作品には、ほぼ必ずそういうシーンがあるように思います。いい監督さんであります。
■『No.002 『J・エドガー』 あるいは嘘に満ちた伝記映画』 URL■