樂月慎さんの短篇恋愛小説『膝枕に雨音が』をアップしましたぁ。2005年に第16回朝日新人文学賞を受賞された作家さんであります。なお樂月さんのお名前の読み方は、「らくづき・しん」さんであります。念のため。またデビュー当時は「楽月」と新字で表記されていましたが、現在は「樂月」と旧字表記をお使いです。これもまた念のため。みなさまお間違いなきようお願いしますですぅ~。
そんで処女作『陽だまりのブラジリアン』(朝日新聞社刊)などをお読みになった方はすでにご存じだと思いますが、樂月さん、独特の世界観をお持ちの作家さんであります。文体は比較的軽いんですが、表現されようとしているテーマは重いというか、人間存在の根幹にかかわるようなものです。
樂月さんは会社員をされながら小説を書いておられますが、いわゆるフツーの生活を多角的に捉える視点をお持ちです。「板子一枚下は地獄」ということわざがありますが、僕たちが送っている生活はそんなに平穏なものではない。むしろ常に日常の下に魔が潜んでいて、それを必死に押し殺しながら生きている。その魔が飛び出してくるのが樂月さんの作品のだいご味であります。
ただ解き放たれた魔が地獄なのか、楽園なのか、それは人によって異なるし、やってみなければわからないことでもあります。しかし魔を開放した人間は、必ずといっていいほど平穏の日常から外れていくことになります。しかしそこには堕ちる快感があります。樂月さんの小説のカタルシスです。とても不穏なのですが気持ちがいいのです。ある種の幸福感がそこにはあります。
今回掲載させていただいた作品『膝枕に雨音が』でも、樂月ワールドがいかんなく表現されています。樂月さん自身の言葉ですが「今回の短編は、自分が到達したい場所に少しだけ引っかかったような手ごたえがありました」ということです。みなさん是非お読みあれっ!。
あ、樂月さんのコンテンツは、例によってPDF版とテキスト版の2種類をアップしています。ケータイ系のデバイスでお読みになる時はテキスト版が便利だと思います。パソなどで読んでいただく時は、デフルトのPDFビュワーを操作していただいてもいいですし、「画面に直接pdfファイルを表示」で全面表示していただいても読みやすいです。これも念のためですぅ~。