長岡しおりさんの『小説TRIPPER 2012年春号』の時評をアップしました。なんと(ってことはないか)柄谷行人さんのインタビューが掲載されているんですね。なつかしー。不肖石川もだいぶ前に柄谷さんの本を読みふけったことがあります。で、いつから柄谷さんの流行、終わっちゃったんだっけ。あ、長岡さんの時評なぞってるじゃん(笑)。
柄谷さんの評論、面白かったですぅ。読んでいるときはジェットコースターに乗ってるような感じ。博覧強記なんです、柄谷さんって。で、コースターを降りると、「あれ、なにが書いてあったんだっけ」って首をひねるんですね(笑)。面白いんだけど、内容の印象は薄いですぅ。ふんで残るのは柄谷行人という著者の名前だけ。
長岡さんは「芸能人ではないのだから、流行が過ぎたみたいな捉え方は間違っている」と書いておられますが、僕の感覚ではそんなに間違ってないんじゃないかと。何冊読んでも印象は同じだったから、多分、柄谷さんの書き物は、「柄谷行人」のプレゼンテーションだったと言っていいんぢゃないかと思います。
柄谷さんは、それまでは小説作品の添え物的扱いだった批評を、「創作」にした初めての批評家だったと思います。それってとってもスリリングで楽しい試みでした。それに、創作批評っていう意味ぢゃ、今にいたるまで柄谷さんが一番だなぁ。柄谷さん以降、批評家のみなさんは、ほとんど全員創作批評の方に向かわれたけど、柄谷さんほど面白くなかったもの。
でも、柄谷さん以降、創作と批評の良好な関係が崩れてしまったのも確か。批評家作家が評論書いても、批評対象は刺身のつまにしか過ぎませんもの。小説か思想書、書いたほうがいいと思うんですけど。文壇批評家のみなさんは、詩とか俳句、短歌はぜんぜんわかんないでしょうから。
って今日はちょっと荒れておりますなぁ。早めの第1回お花見でお酒をたんと飲み過ぎたせいかもしれません。柄谷さんごめんなさい。石川は『小説TRIPPER 2012年春号』ちゃんと買って読みますからね~。