寅間心閑の肴的音楽評『No.125 &』をアップしました。今回の酒の肴はエリカ・バドゥ&ジ・アルケミスト、ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン、エルヴィス・コステロ&バート・バカラックの三本です。タイトルの「&」が示す通り、今回は二人の名前が並ぶ共作アルバムを軸に、ひとり呑みと連れ呑みの合間を行き来する寅間さんならではの一杯が綴られています。
一曲目はエリカ・バドゥ&ジ・アルケミストの「Love Me Not」。エリカ・バドゥは90年代後半に『Baduizm』でデビューしたネオソウルの代表格で、ヒップホップやジャズを取り込んだ独自の歌唱で知られる歌手です。共作相手のジ・アルケミストはニューヨーク出身のプロデューサー兼ラッパーで、モブ・ディープをはじめ数多くのヒップホップ・アーティストのビートを手がけてきた人物。11年振りとなる新作『Before the World Blows』からの一曲を、昼から始まる旧友とのハシゴ酒とともに紹介しています。
二曲目はジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマンの「My One And Only Love」。コルトレーンはモード・ジャズやフリー・ジャズにも足を踏み入れた20世紀を代表するサックス奏者で、マイルス・デイヴィスのグループなどでの活躍でも知られます。共演のジョニー・ハートマンは柔らかなバリトンヴォイスで知られるジャズ・ボーカリストで、本作はコルトレーンが唯一歌伴に回った異色作。ニューヨークへ単身赴任する同級生を送る中華料理店での一夜とともに語られます。
三曲目はエルヴィス・コステロ&バート・バカラックの「I Still Have That Other Girl」。コステロは70年代後半のパンク/ニューウェイヴ期に登場したイギリスの歌手・作曲家で、以後もジャンルを問わず旺盛な作品を発表し続けています。バカラックはハル・デイヴィッドとのコンビで数々のスタンダードを生んだアメリカの作曲家で、映画音楽やイージーリスニングの分野でも大きな足跡を残しました。二人が組んだ『ペインテッド・フロム・メモリー』からの一曲を、母親とのささやかな一杯とともに紡いでいます。寅間さんらしいひとり呑みの気楽さと、連れ呑みならではの丸投げの妙。その両方が味わえる良質のエッセイです。
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