遠藤徹 連載マンガ『えくすぽえめんたる』(第25回)&連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第25回)をアップしましたぁ。『虚構探偵』は近未来小説で、文章で書かれた小説をバーチャルリアリティとして体験できる世界を前提としています。
「ここで、二人の目が比較されてるわね」
「うん、よしこの目は『どんな陳腐なものを見ても珍しそうな目つきをするように思われる。その代わり、いかな珍しいものに出会っても、やはり待ち受けていたような目つきで迎えると想像される』とあって、その目つきに三四郎が癒されることが記されている。その目は、『大きな、常にぬれている、黒い眸』を持っている」
「ところが、うるおったよし子の目に対して、この日の美禰子の目は『この時にかぎって何物をも訴えていなかった』とあるわ。『火の消えたランプを見る心持ち』を三四郎は感じるのよね」
遠藤徹『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』
といった感じでリアルに体験できる世界です。今のところ実現していませんが、『虚構探偵』の世界は決して荒唐無稽でなく、開発される可能性はじゅうぶんあります。
現在のテクノロジーを前提とすれば、数十年単位では文学の世界の未来も比較的簡単に予測できます。紙の本がなくなるとはちょっと思えませんが、データ化が急速に進むのは間違いない。それは古典から始まるでしょうから、ネットで図書館から文字データになった本を借りることができる。まず評論が変わるでしょうね。今でもWikiを活用している方は多いと思います。まあ知ったかぶりにも利用されているわけですが(笑)。
ただ古典的書籍がデータ化されると検索が容易になります。それにともなってまず批評の書き方が変わる。記憶力はそれほど重要ではなく、タグ情報さえ頭の中に入れておけばいいようになるわけです。それがピークに達するとオリジナル神話が復活するでしょうね。そしてそういった変化にともなって小説などの創作も変わってゆく。その程度の変化は予想できると思います。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第25回) 縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第25回) 横書版■
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