遠藤徹さんの連載マンガ『キノコの森』(第07回)&連載小説『物語健康法(入門編)』(第17回)をアップしましたぁ。今回のツタンカーメンの〝物語〟は楽しいですね。奇妙だけど地球上のどこかで起こっていそうな気もします。ただその一方で『物語健康法』では重大な出来事も起こっているわけです。
主人公真田の同志である少女は鉾の会のメンバーの前で「鉾の会の皆さん、あなたがたに自由を贈ります。物語る自由、自分で発想する自由、自分で考える自由をお贈りします」と言います。言論を操る鉾の会の批判であり挑戦状です。ただし鉾の会は自分で考えることを止めた方が楽だから、社会に普及している面もあります。
自由主義の世界では個人の発言は基本的に自由です。よほど反社会的、反倫理的な極端を主張しなければ言論の自由は保障されます。いわゆる民主主義ですが、民主主義は自己の発言も自由に批判されることを承知していなければ成り立ちません。そのせめぎ合いの中で中庸な落とし所を見出すわけです。自己の考えを絶対化したり、他者の考えを闇雲に否定するのは自由の阻害に繋がるわけです。
『物語健康法(入門編)』は人間の本源的な自由を描いた作品です。作中で何度も繰り返されているように、小説家になるための方法のノウハウが書かれているわけではありません。それとは審級が異なる大事な問題が提示されている。もし本気で小説家になりたいなら自由を行使して、社会から批判や評価を受けなければなりません。まあ残酷なことを言えば、気が滅入るような批判や評価を受ければ小説家としては一人前に近づいた、ということになるでしょうか。
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第17回)縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第17回)横書版 ■
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