金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の、小原眞紀子さんの連載小説『No.015 本格的な女たち』をアップしましたぁ。同窓会サスペンス小説です。主人公瑠璃のマンションに宿敵(今のところですが)瓜崎の妻が訪ねてきます。当然緊張をはらんだ展開にならざるを得ませんね。
文学にはジャンルがあり、ジャンルごとにそれぞれ掟があります。もち掟を破ってもいいのですが、それを成功させるためには相当に高い思想と技術を持っていないとダメです。小説の場合、現世を描くこと、そして主人公が追いつめられるのが鉄則です。主人公を追いつめるには男女関係とお金が中心にならざるを得ませんね。また事件で考えるなら殺人が一番人を追いつめる小説要因になります。
日本文学では何も事件が起こらない小説、つまり純文学を最上の文学と考える風潮がありますが正しいわけではありません。むしろ私小説をステレオタイプ化してしまったところから純文学の失墜が始まっています。漱石でも鷗外でもいいのですが、過去の古典文学を読めばほとんどの小説で男女、金などの事件が起こっています。私小説が純文学というのは幻想です。
で、俳句の場合は当然事件が起こってはいけませんね。俳句は淡々と書いてゆかないと文学にならない。短歌は事件が起こってもよい。感情の上げ下げが短歌文学の肝になりますから。自由詩はどっちでもいい。淡々とでも事件を起こしてもいい。ただ現実世界に留まっていてはダメ。どこかで天上界に、観念世界に飛翔する必要がある。
そうやってできるだけ単純に考えてゆくと、なぜ文学ジャンルが複数存在しているのか、複数の文学ジャンルの中で一つのジャンルを選び、そこで何事かを表現してゆくためには何が必要なのかが自ずとわかってくるはずです。
■ 小原眞紀子 連載小説『No.015 本格的な女たち』縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『No.015 本格的な女たち』横書版 ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 第8回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第08回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 金魚屋の本 ■